最近、DX(デジタルトランスフォーメーション)の相談を受けることが多くなり、
- DX化とデジタル化の違いは?
- DX化とIT化の違いは?
と質問をよくいただきます。スウェーデンの教授が提唱した定義とか、経済産業省のDX推進ガイドラインの定義を書くと…難しくなるので、開発の実体験を交えて具体的に解説します。
DXとデジタル化の違い
「DXとデジタルの違い」「DXとIT化の違い」これは広義では同じです。しかし「変化への対応を前提とするか、しないか」ココが大きな、大きな違いです。Digital Transformationの「トランスフォーメーション」は、「変形」とか「変化」という意味だから何となくわかりますよね。
では、「変化への対応」はどういうことか?これを説明するには、DXとは言えない例をみてもらうとわかると思います。
DXとは言えない例
- 何かをIT化したくて開発会社に丸投げでシステムを開発してもらう。
これではIT化できても、その後の変化には対応できません。 - AI を使って何かやれ…と、経営者に明確なビジョンがないのに、AI(人工知能)が注目されているからと部下に丸投げして考えさせる。
経営者がこれでは、AIの何かができたとしても変化への対応はできません。 - IT化のために大規模予算を準備して、独自システムでどんどん開発をしている。一見DXっぽくみえますが、独自の仕組みで開発し続けると、その後の改修費用が膨れ、変化への対応が遅くなります。(レガシーシステム)
今でもよく見かけるITの開発現場です。「DXだ! DXだ! 」と言いながら、昔ながらの開発をしつづけている企業もたくさんあります。(というか、ほとんどです。)
企業に根付いた文化やこれまでの習慣があるので、頭ではわかっていてもなかなか変われないんですよね。では、どうすれば変化への対応ができるのか?
変化に追従していくために
- 経営者自身がDXの概念を理解してビジョンを持つ
- 開発会社に任せっきりにせず、自社で要件を定義する
- 改修しやすい設計にする
- クラウドなど変化に対応しやすいインフラを使う
こうしたことが必要になります。サラッと4つ挙げてますが、こういう考えを持ちながら、IT開発を進めている企業は本当に稀です。DXを推進しなさい…と指示しておきながら、「自分はIT専門ではないから」「私はエンジニアではないから」と避けたり、逃げる方が本当に多い。
これまで支援をしてきた経験上、そういうプロジェクトは、ほぼ確実にDX化に失敗しています。開発してシステムはできるのですが、変化への対応は絶対できないのです。
DX化を推進の成功の秘訣
ITの開発を経験してきた立場からすると、ディープラーニングを使う、クラウドを使う、スマホアプリを使う、ビッグデータを使う…こうした技術を使うことは難しくありません。お金と時間はかかりますが、新しい技術を使ってトライ&エラーするのは楽しいですから。
DX化を推進の成功の秘訣は、「非エンジニアの方もITに興味を持ってもらって、各部署がオーナーシップをもってもらいながら一緒に開発する。」これができるかどうかに尽きます。
結局、自身を含め、みんなのITリテラシーを高めていかないと、変化に追従できないんですよね。